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1913年、仏国、ルアン。
霧雨の降る夜、その猟奇殺人事件は起こった。
被害者はイギリス人神父。
同行していたはずの一人娘の遺体および遺留品は見つからず、行方不明と処理された。
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それから一ヵ月後・・・・・
澄んだ星空の下を力強く走る蒸気機関車。
長春から大連に向かう列車。
その最後尾に位置する日本軍のラウンジカーの中に事件の娘の姿を見出すことができた。
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美しい銀髪。憂いを含んだ瞳。
少女は退屈そうに車窓を眺めていた。
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そこへ一人の英国人紳士が近寄っていく。
と、そのとき車内に悲鳴が響き渡った。
紙切れのように体を切断され、倒れる警護の日本兵。
現れた英国人紳士は微笑んだまま、じっと少女のほうを見ている。
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「な、なんだ、貴様っ!?」
「私はロジャー・ベーコン。そのご令嬢をお迎えに参りました・・・・・」
大いなる悲劇が始まろうとしている・・・・・。
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